動詞と名詞の性質を併せ持つ「動名詞」は、形容詞で修飾?副詞で修飾?
こんにちは
先日、TOEICの公式問題集vol.5を使って授業をしていたときのこと
Part5の答え合わせをリズミカルにこなしていった時、動名詞の前が空欄になっている問題がありました(以下)。
The position of shipping clerk requires _________ lifting of packages weighing over twenty kilograms.
選択肢は
(A) repeats
(B) repeated
(C) repeatedly
(D) will repeat
一瞬迷った後に、「動名詞はもともと動詞なので副詞で修飾します」といって(C)を正解として直ぐに次の問題へと移ってしまいました。
しかし、授業中に気になった問題は後から必ず答えを確認することにしているので、この問題も後で解答を見てみると(B)となっていました。
いろいろ調べてみるとTOEIC専門のブロガーの人でもこの問題を取り上げている人がいて、やはり同様に動名詞を形容詞で修飾すべきか副詞で修飾すべきか迷っていたようです。
動名詞の文中での性質が決め手
結論からいうと、動名詞というのはまさに動詞と名詞の中間的性質を備えていて、文中での使われ方によって動詞的性質が強くなる場合と名詞的性質が強くなる場合の両方ありうるようなのです。
それで、こうしたことを簡明に解説してある文法書が身近にないか調べてみたのですが、ありました。
杉山忠一著「英文法詳解」学研、のなかの第15章「動名詞」のなかに「動名詞の動詞性と名詞性」として約1ページにわたって解説がされています。
簡単にまとめると、「動名詞は、動詞の性質が強い場合も、名詞の性質が強い場合もある。またさらに、完全に名詞になってしまっているものもある。」としたうえで、それぞれの例を挙げています。
- building a bridge(橋を造ること)
- the building of a bridge(橋の建造)
- a building near the bridge(橋の近くの建物)
この中で、①が動詞の性質が強い例ですが、目的語としてa bridgeをとっているところに、いかにも動詞らしさが見られます。②が名詞の性質が強い例で、buildingにtheが付き、直後にofを使ってその後にある名詞と共に意味の塊を作っている様は名詞的と言えます。③が完全に名詞化した例で、確かにbuildingで辞書を引くと名詞で「建物」の意味でエントリーされていますね。
さらに例文として、
occasinally worshiping idols(ときどき偶像を礼拝すること)
occasional worshiping of idols(ときどき偶像を礼拝すること)
という二文を挙げています。
まったく同じ意味になりますが、その形態の違いは動名詞を修飾する形容詞と副詞の使い分けを知るうえで非常に参考になります。注目すべきはofの有無であり、この文でいうならばidolがworshipingの直接目的語になるかどうかです。
どうも、この文の場合はworshipingの後にofが入ることによって元々worshipが他動詞としてもっていた目的語をとるという機能が阻害されることが、worshipingの名詞的性質を強めることに一役買っているようです。すると、形容詞+動名詞+of+名詞という語順がでてきます。先に取り上げたTOEICの公式問題集の問題もまったく同様のパターンです。
おそらくこのパターン以外にも動名詞が形容詞で修飾されている例はあるのでしょうが、その場合も動名詞の動詞性が強いのか名詞性が強いのかが判断基準になるはずです。