古都鎌倉に佇む風情ある御成小学校の歴史
鎌倉といえば、古都の風情が漂う観光地として有名ですが、その中心部にある「御成(おなり)小学校」も、じつはとても興味深い歴史をもつ場所です。今回は、そんな御成小学校の現在の校舎がどんなふうにできあがったのか、ちょっとのぞいてみましょう。
御成小学校の前身は鎌倉御用邸
実はここ、もともとは「鎌倉御用邸」があった場所なんです。1933年(昭和8年)にその跡地に小学校が建てられ、「御成小学校」としてスタートしました。校門には当時の冠木門(かぶきもん)が使われたり、校章にも御用邸の面影が残っていたりと、ちょっと特別な雰囲気がただよっています。
時代が進むにつれ、児童の数も増え、建物も老朽化。1980年代には校舎の建て替えが検討されましたが、最初に出てきたプランには「ちょっとそれは…」という声が多く、地域の方々が反対運動を展開。そこへさらに追い打ちをかけるように、1983年には3号校舎が火災で焼失するという出来事も。
でも、そんな困難を乗り越えて、地域と学校が何度も話し合いを重ねた結果、今のあたたかみある木造風デザインの校舎が完成したんです。旧校舎の部材も一部再利用され、まさに“つながり”を感じる建物になりました。
旧講堂は国の登録有形文化財に
さらに見逃せないのが、昭和8年から残る旧講堂。和洋折衷のレトロな建築で、2017年には国の登録有形文化財にもなったんですよ。保存と活用のための取り組みも続いていて、校舎とともに地域の宝として大切にされています。2025年からは保存に向けた改修工事が予定されています。
御成小学校の校舎は、ただの建物ではなく、鎌倉の歴史と、子どもたちの未来への思いがギュッとつまった場所。これからもきっと、たくさんの物語を紡いでいくのでしょう。
進学先の中学校
御成小学校を卒業した児童の多くは御成中学校へ進学しますが、最近の中学受験ブームで私立の中高一貫校への進学者は年々増加傾向にあります。小学校4年生くらいからサピックスなどの塾に通う児童が多いようです。