suggestの発音で「サグジェスト」はどれくらい使われるのか?
こんにちは
今回は発音の辞書のご紹介です。
この辞書を購入したのは何年も前なのですが、あまり活用することもなく本棚に飾られていました。最近、発音の指導も本格的に行うようになってから改めて引っ張り出してみるとなかなか面白いです。
なかでも興味を引くのは、単語によってはコーパスがついているところ。ひとつの単語に異なる発音が認められる場合にどれくらいの割合の人がどの発音をするのかが分かります。
例えば、suggest という単語ですが、私は「サジェスト」と-gg-の部分を「柔らかい音」でずっと発音していたのですが、実は「サグジェスト」とsug-の最初のgを「硬い音」で発音する人のほうが数が多く、約8割のアメリカ人はgを発音してるそうです(写真)。
本当にそうなのか?検証①Youglish
上記の記述を発見した時は、「へー」と感心したのですが、「でも、本当にそうなの?」という疑問が生じました。
理由は、経験的にネイティブの発音でも「サジェスト」と柔らかい音しか自分の記憶になかったからです。
そこで、Youglishというネイティブの発音をチェックできるウェブサイトで確認してみることにしました。
このサイトは、発音を知りたい単語を検索窓に入力するとYouTube動画から該当する単語が発音されている場面を抜き出してくれます。
例えば、suggestでは30,000件以上がヒットしますが、数が膨大なので全てチェックしていませせんが、私が確認した限りではすべて「サジェスト」という「柔らかい音」でネイティブは発音していますね。
辞書の調査は1993年になっているので、それほど古いデータでもありません。
辞書が間違っているのか、この部分はいまだに謎です。
オンライン辞書ではどうか?検証②オンライン辞書
現在、かなりの数のオンライン辞書が存在し、音声もチェックできる機能がついています。
イギリス英語もアメリカ英語の「サジェスト」と柔らかい音でした。
イギリス英語もアメリカ英語も音声は「サジェスト」と柔らかい音でしたが、発音記号の表記が以下のようになっていました。
British English
/səˈdʒɛst/
suh-JESST
U.S. English
/sə(ɡ)ˈdʒɛst/
suhg-JESST
アメリカ英語に関しては、dʒという発音記号の前に(g)が入っています。これはgを発音する場合があることを示しています。
この発音記号の違いはケンブリッジ辞典には見られませんでしたが、少なくとも、アメリカ英語で「サグジェスト」とgを「硬い音」で発音する場合があることを示唆しています。
さらに音声として「サグジェスト」という発音があるかを調べてみました。
ついに発見!サグジェストの音声
そして、Wordreference.comというサイトで、ついてアメリカ英語でgを「硬い音」で発音している音声がありました。
https://www.wordreference.com/
なるほど、少し詰まりながらgの音が「硬い音」で一瞬発音されています。カタカナ表記で「サグジェスト」と書くと「グ」の音がかなりはっきり発音される印象がありますが、実際はそれほど違和感のない音でした。
気になる方は確認してください。
Longman Pronunciation Dictionaryには他にも小さな発見がいっぱい
Longman Pronunciation Dictionaryには、他にも short cut という単語で強勢をどちらに置くかでは、6割のイギリス人が前に置き、4割は後ろに置く。また、年齢別のデータも載っていて若者ほど前に強勢を置く人が多いようです。
ややもすればトリビア的な知識となりがちなので、あまり一般的なニーズはないでしょうが、発音に興味がある人や英語の指導者で発音にもこだわっている人ならば持っていても良い一冊かもしれません。
私が持っているのは第2版ですが、現在は第3版がCD付で販売されているようです。
J C Wells "Longman Pronunciation Dictionary" Pearson Education, 2008